2012年1月21日土曜日

旅支度65

  教会の典礼による救いを否定し、救済される者も地獄へ向かう者もすでに神が定めた事と説いたカルヴァン派は、その後西欧の国々に拡がっていきます。フランス、オランダ、イングランド、スコットランド、そして新大陸へと教えはひろまりました。カルヴァンの「労働は神が与えた天職」や、労働によって得られた利益の蓄財を認める教説は、当時の新興勢力となっていた商工業に従事する人びとに拡がります。ベネディクトから約千年続いた神と共にある「働く」という意味が、その姿を徐々に変えつつありました。  カトリックに留まりバチカンを支持した旧来の国王、貴族そして大商人に対して、地理的にもバチカンから遠方の国王や貴族、新興商人、職人などはプロテスタンに改宗しています。神の国より世俗の利害に聡い勢力は、旧来の権威に縛られず新しい世界の権威に将来を託しました。近世はまさに、聖俗双方での新旧勢力の衝突の時代でした。続く

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