2011年10月20日木曜日

旅支度49

  十三世紀、修道院教会が街に現われます。人里離れた場所に居たキリストが街に現われます。托鉢修道会といわれれるドミニコ会やフランシスコ会はキリストや使徒の精神を市民に伝える、都市型修道会と言えます。特にフランシスコ会の修道士はキリストや使徒の精神を「実践」で伝えます。 利に聡い市民にとって、「清貧」を旨とするフランシスコ会修道士の「実践」は目新しい修道士の出現、初めて身近に感じるキリスト教だったと思います。ドミニコ会と違って下層市民への布教を行ったフランシスコ会は、フランシスコ存命中から多くの信徒を集めました。イタリアのアッシジはフランシスコ会の総本山です。聖堂内には存命中のフランシスコの実践の様子が、ゴッシク期からルネッサンス期への過渡期に現れた画家ジョットの壁画として残っています。 街自体は城砦都市のようです。 街の修道院教会は城と同じ役目を果たしました。有事の際は市民の避難場所になっています。街自体も市壁に囲まれた防御用の構造になっていました。 街の要所に築かれた教会は市壁外の外敵の襲来をいち早く発見し、街の様子も十分に観ることができました。市民であった職人や商人は、「働く人」として農民よりも経済力をつけていきます。彼らは一つにまとまることで、一層、強力になっていきます。職人、商人の職業ごとの組合(ツンフト・ギルド)が作られ、組合員の生活や利益を守っていきます。そのような市民が住む街は次第に都市しての機能を備え、自治都市として聖職者や貴族に対しても発言するようになります。続く

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