2013年1月10日木曜日

フランチェスコ 組織

  スイス紙幣の100フランのデザインはアルベルト・ジャコメッティの肖像と、彼の作品「歩く男」が描かれています。実存主義的といわれる彼の作品、彫刻はその像が極端に細くなっているものが多いです。まるで、削って削って無駄を削ぎ落として、行きついた先が彼の作品のかたちのようです。歩く、という単純な行為。その行為が主で、行為者は従。行為が無ければ人も存在しない。ジャコメッティのかたち。

フランチェスコは亡くなって2年後には列聖されています。聖人を決めるのは法王庁です。多くは1,2世紀、長い年月を掛けて決定される事項ですが、フランチェスコの列聖は例外かもしれません。否、彼の後半生を観ると法王が列聖したものわかります。しかし、恐らく、フランチェスコの思いとは違ったと思います。晩年、フランチェスコの思いとはズレが生じる兄弟会からも距離を置き、改悛した当初の修道生活に入ったフランチェスコ。己の思いを貫きます。
フランチェスコの下に集まり、増え続けた兄弟。彼の思いとは別のところに兄弟が道を創りはじめました。フランチェスコにもどうする事も出来ません。所有せず、自己主張しないフランチェスコの、キリストと共に在る方法は、最初に戻る事だったようです。フランチェスコにとって兄弟会も、大聖堂も、列聖も必要ない事です。
 
 

 大切なものは一つだけ。他には何も要らないという事はどれほど心安らかに、強くなれるでしょう。

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