2011年11月8日火曜日

旅支度53

  一〇世紀頃から一二世紀頃にかけてロマネスク様式の教会(修道院)が建てられました。半円アーチの開口部、壁厚の構造等が特徴です。  スペインのガリシア地方にサンチャゴ・デ・コンポステラと言う巡礼地があります。九世に聖ヤコブの墓が発見されて以来、多くの巡礼者を集めました。現在でも夏になると世界中から多くの巡礼者を集めます。中世、巡礼者を守るために街道沿いに多くの修道院教会が建てられました。ロマネスク時代の建築物です。 シトー派の修道院同様、カミノ・デ・サンチャゴといわれるスペイン北部の巡礼路沿いの修道院でも葡萄の栽培が行われ、ワインが生産されました。  教会の外周の軒下には奇怪なかたちの彫刻装飾があります。堂内の人物像、動物、植物の装飾も独特なかたちをしています。聖人像は極端に顔や手など身体の一部を大きく表現したり、動物や植物の表現も独特です。「かたち」は意識的な表現ではなく、ロマネスクの人々にはかれらの「かたち」を感じたままに表現しているように思えます。現代の我々とは違う見方が出来た人々です。人間の感性、考え方などがロマネスクからゴシックに移行した時代、人間もがらりと変わったように感じます。おおらかに自然に生きていた素のロマネスクの人々を感じます。  一二、一三世紀には聖遺物崇拝とそれを祀る教会への巡礼が盛んになり、各地で財力のある教会は、その規模を大きくしていきます。 最終巡礼地点であるサンチャゴ・デ・コンポステラの聖堂は九世紀に聖ヤコブの墓が発見され、そこに礼拝堂が建てられました。その後、ロマネスク、ゴシック様式時代を経て、現在の建物はスペインバロック様式の建物になっています。長い時間を経て、人々が意識的に創りあげた「かたち」です。続く  

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