一三世紀頃には新しい働き手として出現していた職人や商人の住む街は市壁を備え新たな市場を形成していました。そのような街にドミニコ会やフランシスコ会の修道士たちが現れます。閉鎖的な修道生活の場所から開放的な修道生活が行われる場所として修道士の舞台は街に移ります。キリストの教えも修道士や王侯・貴族だけでなく一般庶民にも説かれるようになります。キリストの実践した大衆救済が始まります。教会建築も荒れ野のロマネスク様式から街のゴシック様式へ。富と権力を集めた修道院は次第にその勢力を弱めていきましたが、大衆の中へ飛び込んだ修道院教会は職人や商人などの支持を得ていきます。大衆の為のキリスト教時代を迎えつつありました。王侯・貴族の寄進による教会だけではなく、職人や商人など大衆による寄進の教会が建てられていきます。そのような教会がゴシック様式建築として西欧中に拡がります。高く聳える尖塔、開口部の尖頭アーチ、ステンドグラスの窓、高い天井等が特徴の教会建築は、まさに「神の住まう」空間として新しい時代のキリスト社会の扉を開きました。
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