「白い猫、黒い猫」発言の鄧小平が復権、登場してから中華人民共和国は変わっていきました。社会主義の国が市場経済(?)の導入を始めたのです。社会主義国を旅行するとどこかで必ず長い行列を目にしました。ガイドに聞くと、行列の先には日ごろ手に入らないものが販売されているとの事。行列はそんな商品を手に入れるようと自然に長くなり、商品が売り切れれば購入できなかった人民は無表情で諦めるという次第。需給関係は常に供給側が商品の管理しているので市場は品不足の状態が起きていました。ところが日本と同様に需要に応じて商品販売が行われるようになったのです。八〇年代末、中国人現地ガイドが案内する土産屋では、全く同じ商品が違う値段で売られるようになりました。しかし、値付けが極端に違います。似たような商品を扱う土産屋をガイドは平気で案内します。ガイドに苦情を言うと「(値付けは)自由だ」との返答。「自由」という言葉も新鮮でしたが、周辺の土産屋の値段には頓着せず好き勝手(自由)な値付けをしていました。
その頃には民間の旅行会社も営業を始めており、ガイドも自社で抱え現場での裁量をガイドに与えていました。私の仕事は遣り易くなりましたが、一方でガイドが自身の好きなように仕事をするようになりました。「自由」という言葉の解釈は人によって様々なようです。「自由」は一見、普遍的な意味を持っているように思えますが、使われる「時」「場所」によって全く違う表情を見せます。 続く
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